日本の法律を国民の手で変えようの会

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日本の社会保険料の異様な高さが失われた30年をつくった(国民健康保険料編)

前回では日本人にはどれだけの年金保険料負担があるかを書きましたが、今回はもっと大事な健康保険税について書きます。前回と同じように国民健康保険料、被用者保険に分けて負担の重さを記します。

 

国民健康保険税

保険料率が地域でちがう?!

まず、驚くべくことを言います。国民健康保険税の料率は全国一律ではありません。地域によって負担率に違いがあります。この時点で、おかしいな?変な話だな。と思う人が多いと思います。地域によって税金に差が出るということですから。

確かに東京などの最低賃金が高い地域ほど税金が高くなるのは当たり前の話に感じられることかもしれませんが、東京にいても職にありつけなかったり、職にありつけても田舎の労働者よりも賃金が劣るなんて人はゴマンといます。この段階からして、この制度のおかしさが垣間見えてきますね。

そして、現実はさらに斜め上を行くおかしさです。こちらのサイトから国民健康保険料の地域別ランキングをごらんください。

いかがでしょうか?国保税の負担率が高い県は、広島や神戸や函館、大阪、そして山形なんて田舎地方もあります。神戸や函館、大阪くらいならそれなりの地域経済規模はあるのでしょうが、山形まで年収割合の13.3%などという非道な額を負担しなければいけません。

対して、最低賃金トップの東京はどうでしょうか?23区の年収割合は8.9%です。こんなおかしな事がありえるでしょうか?山形なんて現在2022年の最低賃金は854円です。東京は1041円です。地域における富裕さは最低賃金の時点でこれほどはっきりと分かれています。なのに、税金負担は賃金の低い山形の方が高いのです。何でしょうかこれは?

こんなおかしな制度をやっている国なのに、政治家はふだん地方創生と意気揚々に叫んでいるのです。地方を創生したい気持ちが本物なら、異常に高い保険税を改革するべきなのに、彼らはまるでこうした問題に手を付ける兆しは見えません。いかに現与党の政治家たちが口だけであるかがよく分かります。

国保税(医療分のみ)の計算

国民健康保険料は「前年の1月~12月の所得」「加入者数」をもとに計算しています。ここでもツッコミどころがすぐに浮かび上がりますね。「前年の1月~12月の所得」から決定しているのです。

こんなやり方で決めたら低所得者の人間がたまたま株で大儲けした時に、来年に酷い額の保険料を支払わないといけなくなりますし、反対にもともと資産がたくさんある人だと、所得がたまたまその一年なかったという理由だけで、額が大幅に減ります。これは完全に資産家サイドが得する仕組みになっているのです。ひどい設計です。

本来であれば、所得と流動性資産の合算値で計算すべきです。低所得者が分不相応に株で大儲けしても、株式投資なんて運勝負で勝ち続けるのは不可能なので、儲けた額分次の投資で消えるか、散財して消えます。もともと能力の高い人の安定的な高い給与と同じにしていいわけがないのです。

「加入者数」というのは、その世帯にどれだけいるかという事です。国保税医療分は世帯ごとに徴収される税金なので、1人暮らしであれば加入者数1名となり、家族で住んでいるのならば、父親、母親、子供の数だけ加入者数が増えます。5人家族とかなら、加入者数5名になるのです。そして、後述しますがこれが恐ろしいのです。

それではここで実際に国民健康保険料(の医療分のみ)を計算していきます。

国保税(医療分)= 所得割額 × 保険料率 + 均等割額 × 加入者数

※ 所得割額は前述した去年度の所得です。
※ 保険料率および均等割額は前述した地域によって変わってくる料率です。負担の重い自治体は保険料率が高かったり、均等割額の値段が高かったりするのです。

ここでは特に加入者数に着目してください。地域別で変わってくる負担の重さにおいては先程指摘したのでいいとしますが、問題は加入者数です。

加入者数は一つの世帯に対しての数字です。先ほども書きましたが、3人家族とかなら3名の加入者数です。5人家族なら加入者数は5名。もうお分かりかと思いますが、子沢山であればあるほど保険料負担が重いという、馬鹿な仕組みを作ってしまっているのです。厚生労働省というとんでもない組織は。

普段あれだけ少子化ガー少子化ガーと叫んでいる国や自治体が、子供を生むほど税金が高くなってしまう仕組みにしているのには、一体どう考えたらいいでしょうね?日本の現内閣は少子化担当相というポストもあるらしいですが、この大臣様がこうした点に言及した記憶はついぞございません。

もちろん、子供が将来働きだして同じ家に住み続けるのなら一世帯で得られる収入の多さに、税の重さも薄められるとは思いますが、残念ながら日本社会は核家族化が進み、ずっと親元に居続けるような人はもはや少数派とすら言えるので、この保険制度は実質的に子供の数分だけ税の苦しみを負う制度になっているのに他なりません。

 

血も涙もない取り立てと罰則

冒頭に国保が年金よりも重要だと言った最たる理由は、このおかしな制度は税の取り立てにおいて非常な努力を発揮するからです。

というのも、年金ぐらいであれば、極論ずっと払わなくとも将来年金を支給してもらえないという程度の罰しかないですが、国保は延滞するとちゃっかりと延滞金を取られます。情状酌量はありません。私も延滞金を徴収されました。私の給与なんて10万も満たしません。それなのに、役所は延滞金を8000円以上も奪い取っていきました。

その延滞も無視し続ければ、財産差し押さえもあります。これは都市伝説でも何でもなく、日本社会で公然と行われている暴力的行為です。詳しくはこちらで。

はっきりと申し上げますが、先進国家のなかで、これだけ低所得者に対し非情な虐待を繰り返す国は日本だけだと思います。低所得者が支払える税金なんてものは、もともと税収割合からすれば微々たるものなのに、この国の国家行政・地方行政は弱い者いじめに余念がありません。

また、こうしたおかしな制度に対しての行政不服申立の仕組みもありますが、この仕組は100%行政側が有利になるように設計されており、市民の側の正当な言い分が通る可能性は限りなくゼロに近いです。

国と自治体が繰り出すこのような狂った仕組みに反旗を翻すため、今多くの運動家が日本の為に戦ってくれてはいるのですが、日本人の関心が国保税に対しイマイチなため情勢が暗いです。

国保税という収入の2割、3割にも及ぶ重税が改善されれば、多くの人がもっと豊かになれます。景気も間違いなく良くなります。人々の注意が法外な社会保険料に向くようになれば、日本は間違いなく住みよい国になるはずです。

 

次回は被用者保険について書きます。

 

 

 

日本の社会保険料の異様な高さが失われた30年をつくった(年金保険料編)

この記事では日本の社会保険料が異様に高いために、日本の景気がずっと悪く、それ故に実質賃金が30年以上も上がっていないという社会問題について書きます。

 

社会保険料というのは、年金と健康保険と介護保険雇用保険労災保険の5つの保険料を合算した保険料金のことです。これらの保険料は一定水準以上の給与所得者ならば、給与から自動天引きされ、それ以外の人では個別に地方自治体に対し支払うことを義務を課されています。

 

今回問題視する保険料は、この5つのうち年金と健康保険と介護保険の3つです。というのも、残りの雇用保険労災保険は給与に対してそれほど高い税率がかかっていないので、今回は無視することにします。問題なのは、年金・健康保険・介護保険です。

 

日本人は一年にどれだけの年金・健康保険・介護保険を支払っているか?

実際に私たちが年にどれだけの額の社会保険税を支払っているのかを見ていきましょう。最初に年金から見ていきます。

国民年金・厚生年金

国民年金第1号被保険者は1カ月当たりの保険料は16,590円です(令和4年度)。1号被保険者というのは、厚生年金に加入していない人のことです。すなわち、自営業者や農業者、学生、そして厚生年金に加入できる要件に達していない低所得者もそうです。

 

次に厚生年金の額を計算します。厚生年金の額は国民年金とちがって、16,590円などと固定された価格ではなく、労働者の給与や報酬に保険料率(18.3%)を乗じて算出されます。

 

例えば給与が月額98,000円だとすれば、98,000 * 0.183 = 17,934円。そして、厚生年金は労働者と雇用者で保険料を折半するので、実際にこの労働者が一ヶ月に支払う保険料は17,934 / 2 = 8,967円になります。

 

この低賃金労働者が一年に支払う厚生年金の額は、夏と冬にボーナスが10万円ずつあると仮定すれば、( 8,967 * 12 ) + (100,000 * 0.183 * 2 ) /2 = 125,904円になります。

 

つまり、この労働者は年に1,376,000円しか稼ぎ出せないのに、そのうちから年金だけで125,904円も徴収されるというわけです。残ったお金は125万程度であり、さらにそこから健康保険料や介護保険料(40歳以上であれば)、住民税も抜き取られるのです。

 

もっと悲惨な存在もいることを忘れてはいけません。それは厚生年金に加入すらできない極限の低賃金労働者です。彼らは雇用者と折半するなんていう事は出来ず、固定の金額16,590円を毎月支払わなければいけません。そして、同じように健康保険料やら住民税やらを徴収されます。

 

ビジネスがうまくいっている自営業者や、親が金持ちの学生はいいでしょうが、そうではない人たちはどうなるでしょう?考えただけでもゾッとする話だと思います。もちろん免除制度もありますが、必ず通るとはいい切れません。国や自治体はこれほどの低所得者に対しても情け容赦がないことを覚えておくべきです。

 

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